鉄道撮影禁止法

以下のツイートを見て思いついた話。


デジタルカメラの普及により安価なカメラが一人一台は当たり前となり、鉄道写真の撮影は身近なものとなった。
それに伴いホームで三脚を使ったり、撮影に邪魔と思われる桜の木を伐採する、といった迷惑行為が多発していた。

鉄道事業者が呼びかけても一向に収まる気配を見せず、更に迷惑行為が多発していた。

そこで、大手鉄道事業者による嘆願によりとある法律が可決した。

「鉄道及び軌道等における車両の撮影を禁止する法律」、通称「鉄道撮影禁止法」である。

この法律では、以下のように定めている。

「何人も、鉄道及び軌道に類する車両の撮影を禁止する。違反した者は死刑に処する」というものである。
つまり、駅のホームで三脚を使って撮影するというような悪質なものから、小さな子供がカメラで線路脇から撮影すること、果ては雑誌やテレビ等の取材者が鉄道事業者に許可を取ったものまで、すべて禁止としたのである。

鉄道マニアは、どうせ法律が通っても死刑にはならないだろうと高をくくっていた。
しかし、施行日当日の速報において5歳の男の子が逮捕されたというニュースが日本中を駆け巡ったのだ。

鉄道マニアは途方に暮れた。
高いカメラと三脚。これから何をすればいいのだろうという脱力感。

夕方に特番が組まれた。どうやら逮捕者は全国で100万人を超えたというのだ。

逮捕された人は口々にこう言うのだ。
「まさか本当に逮捕されるなんて思わなかった」と。

ここまで逮捕者が多いと刑務所が足りないため、即日死刑が執行されるのだという。

夜のニュースで特集が組まれた。

「いくらなんでも酷いのではないですか」という識者の質問があり、それに対して鉄道事業者はこう答えた。

「私たちは悪質な鉄道撮影者に対して憤りを覚えていました。いくら啓発マナーを出したところで見向きもしなかった。ならばいっそこの世からいなくなってもらいたいと、そう日頃から思っていました。そんな人なんてお客様ではないですよ。」

鉄道マニアはこう自問自答するしかないのであった。

「嗚呼、あの時きちんとマナーを守って撮影していればこんなことにはならなかったのに」と。

It's no use crying over spilt milk.
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