城中電鉄 

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300形(II)

 300形(II)は、1999年に登場した特急用車輌です。

概要

導入の経緯

 城電のフラッグシップトレインとして君臨してきた初代300形ですが、車令30年近くともなるとさすがに老朽化してきました。そこで、1999年に置き換えのために車輌を製造することになりました。
 そもそもの300形のコンセプトは「ビジネス用」でした。設備が公衆電話ぐらいしかないことからも伺えます。しかし、80年代より観光にも目を向けるようになります。二の丸公園駅に特急が停車するようになったのは1984年のことです。
 そこで、新型車輌のコンセプトは「ビジネス用を主眼に置き、観光用としても使いやすい車輌」ということになりました。それが新300形です。

車輌概説

車体

 車体長は18m、ドア数は2ドアとなっており、特急車両の風格を出しています。
 車体は城電で初のアルミニウム合金製を採用しました。車体はステンレスが検討されましたが、ステンレスでは振動が感じられるという意見もあったため見送られ、軽量化ができ、かつ価格も安くなってきたためアルミを採用しました。台枠や側構体軒桁に大形中空押出型材が、他の部位にも大形押出型材が全般的に採用されました。また、大形押出型材を用いて外板と骨格の一部、外板補強を一体化し、スポット溶接適用部位が大幅に削減されています。

内装

 座席は特急料金として頂く金額はわずかな金額であるため、転換クロスシート以上にはできないだろうということでした。不況ということもあって、集団見合い型クロスシートを導入する予定でしたが、集団見合い型では後ろ向きの座席を指定されてしまう利用者が出てきてしまいます。それは大変よろしくない。そこで、転換クロスシートを維持し、座席のシートの色を茶色系から青色に変えることによって、爽やかさを出すこととなりました。
 また、転換クロスシートは座席の前後を自分で変えることによって4人用の座席にできるため、観光用にも対応できると踏みました。カーテンは従来のものではなく、ロール式のものを採用することによってスマートさを演出することになりました。シートピッチは変わらず900mmとなっています。

主要機器

 主電動機は500形に引き続きTDK-814-A(110kW)を採用しています。MT比は、T車が多いと経済編成が作れます。M車が多ければ高出力の車両ができます。しかし、変電所との兼ね合いで全電動車は無理(1ユニットまでなのです)とされ、2M1Tを継続することになりました。
 制御装置は500形と同様にバーニア抵抗制御を採用する予定でしたが、界磁チョッパ等の複巻電動機と同様でありながら回生ブレーキを使用できる構造が単純な直巻電動機を使用した(複巻電動機は構造が複雑で高価なのです)界磁添加励磁制御を採用しました。
 駆動方式は引き続きTD平行カルダン駆動を採用しています。
 歯数比は特急用ということもあり3.75。全界磁の定格速度が57.7km/hとなっています。これに弱界磁制御を行うことによって定格速度を上昇させています。起動加速度は車体にアルミを採用し、座席定員製ということもあってか2.9km/h/sと通勤用車輌と変わらない速度を維持しています。
 ブレーキ方式は回生ブレーキに非常発電ブレーキを併用し、電気指令式空気ブレーキでブレーキをかけてから停止するまでの時間を短縮するという効果や乗り心地を上昇させています。台車は城電伝統のS型ミンデン式を採用しています。

沿革

 城電の次世代のフラッグシップトレインということで300形を継承し、「新300形」や「300形(II)」と呼ばれ、1999年の導入以降順調に置き換えが進められました。また、地方私鉄としては非常に意欲的な車両ということもあってか、2000年に鉄道友達の会よりブルーバードリボン賞が授与されました。現在まで城電の車輌では唯一の受賞車両となっています。
 2011年6月をもって旧300形が全車両引退し、以降は300形は全車両がこの車両となっています。


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