城中電鉄 

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城電の頻繁運転の謎

 こんにちは。城中電鉄広報係の甘木です。
 城中電鉄のウリといえば日中でも毎時11本という高頻度運転かと思います。しかし、鉄道マニアの旅行記等を見ますと、「地方私鉄なのに本数が多すぎて味がない」などと散々に書かれているのをよく見ます。また、「人口が少ない場所を通っているのに採算が取れるのか」などという意見もよく聞かれます。
 確かに利益はそんなに出ていません。しかし、闇雲に毎時11本を運行しているというわけではありません。それでは、なぜ城電ではこのようなことを行っているのでしょうか。今回はそのことについて説明をしたいと思います。

 城中電鉄は人口24万人の城中市と人口3万人の宮代地区を通っています。普通、このような場所に鉄道を通したならば日中の運行本数は毎時3本程度で事足ります。しかし考えても見てください。毎時3本ということは20分に1本ということになります。もしも1本逃したら20分間待ちぼうけになります。城電はJR路線と競合していませんが、自家用車という強力なライバルがいます。500形のページでも触れたかと思いますが、自家用車は目的地にドアtoドアで着くことができるという大きな利点があります。一方、鉄道を利用する場合は駅から近い施設を利用するならばよいのですが、少し離れれば歩くかバス利用になってしまいます。家から駅まで10分歩いて、電車を20分待って、5分乗って、バスを10分待って、10分乗って、そこから15分歩いてやっと目的地に着くというのもありうるわけです。通算1時間10分かかることがわかります。誰がこんな不便な交通機関を利用するんでしょうか。だったら初めから自家用車やバスを利用するのではないでしょうか。また、「待つ」という時間はその場にとどまっていなければなりませんので、時間の進むのが遅く感じるんですね。
 だったら、使いやすい鉄道にすればよいわけですね。そこで、城電では多少の出費は覚悟の上、待ち時間を極力減らすことによって鉄道に乗ってもらうという考えになりました。頻繁に走っていれば「ちょっと乗っていくか」ということも考えられますしね。
 次に何分間隔ならばよいのかを検討することにしました。さすがに5分間隔(毎時12本)では採算が取れませんが。城電では約8分ヘッド(普通列車で毎時7〜8本)を採用しました。それはなぜか。最短の駅間が800mだからです。人の歩く速さは約4km/h、分速にすると66.67mになります。もしも10分間隔だとしたら待っている間に666.67m進めます。つまり10分待つ間に8割以上は進めるわけです。こうなると鉄道に乗るという恩恵が感じられないと思うんです。よく「タクシーでワンメーターなら歩こうと思うのが若者、ワンメーターでも乗ろうと思うのがオッサン」という話を聞きますが、8割も進めるならば歩く人は出てきます。その人たちを逃したくない。その点、8分間隔なら533.33m。3分の2しか進めません。これならば電車を使ってもいいなと感じるのではないでしょうか。
 もう1点ですが、城電には普通と特急の2つの種別しかありません。しかも特急は運賃とは別に座席指定料金がかかります。12km以下は100円で済みますが、ともかく無料の優等列車の設定がありません(これは川島冷蔵庫氏の「架空鉄道事情大研究」でも触れられている点です)。無料の優等列車がないということは、遅く感じるんですね。城電の表定速度は特急の退避なしで37.5km/hと速い部類に入るのですが、如何せん各駅に停まるために遅く感じると感じるわけです。
 また、無料の優等列車を設定すると必然的に普通電車の本数は削減されます。優等列車の停車駅はそれでもいいのかもしれませんが、普通電車のみの停車駅ではやはり12分に1本ということも考えられます。優等列車の停車駅でも、優等列車の設定がない駅に行く場合にはやはり待たなければなりません。その結果、優等列車の停車しない駅を利用する人は減るというわけです。

 城中電鉄にはJR九州のような有名デザイナーによる車両もありませんし、関西私鉄のようなスピードで対抗できる車両もありません。クロスシートも普通電車には設置していません。また、地方私鉄では公募社長やレトロな気動車を入れたりといった取り組みを行っているところもありますが、そのようなことは行っていません。ということは、沿線住民からそっぽを向かれれば終わりです。メイドが接客するという取り組みを行っている鉄道会社もありますが、所詮一時の話題づくりであって、毎日イベントを行うというわけにも行きません。「そんなことする前に毎日乗ってください」と城電の関係者は語ったといいます。確かにそのようなことは評価できるかもしれません。
 しかし、24万人の城中市民、3万人の宮代地区、それ以外にも城中電鉄を利用する20万人近い人たちがいます。毎年正月には宮代神社に数十万人が参拝し、春には花見、夏には高校野球の地区大会や海水浴に訪れる淡島県の観光客がいます。彼らが利用しやすい鉄道にする、それが城中電鉄の役割だと考えているのです。


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