1990年代後半。夜行列車は廃止ラッシュを迎えようとしていた。夜行列車は一昔前までは日本中を駆け回り、旅行者の足として機能していた。しかし、近年は以下に挙げるようないくつかの大きな問題を抱えていた。 これらの問題を解決するために、2001年にJR貨物を筆頭とした第二種鉄道事業者「ジェイアール旅行株式会社(以下『JR旅行』とする。通称同じ)」を発足させ、夜行列車を「JR旅行」に移管することにしたのである。JR貨物が筆頭となったのは、JR旅行は客車のみを保有し、JR貨物より機関車を貸与してもらい運行するという形態によるためである。また、運転が終了した客車をJR貨物の駅に留置させておくのもJR貨物が筆頭になった理由である(理由は後述)。機関車の運転士をJR貨物が出向扱いでJR旅行に派遣することによりJR旅行が運転士を養成する必要がなくなったというのも大きな利点であろう。 JR旅行ではJR各社から譲渡された客車の他に同年に6編成を新造した。これにより設備の面においても更新を行い乗客に満足のいくサービスを行うことが可能となった。同社はこの6編成を「ノスタルジックトレイン」と称し、明治から戦後にかけて標準的であった展望車を組み込むことにより鉄道が主であった旅行を想起させることを目的とした。また、座席車を組み込むことにより安価に夜行列車を堪能してもらいたいという願いが込められている。
車輌番号は旅を意味する単語である「Journey」の頭文字より「J」、及び21世紀の列車ということで21を組み合わせ、「J21系」に決定した。JR四国を除くJR各社では国鉄時代の車番付与方式を継承しているが、JR旅行では「国鉄のいいところは引き継ぎ、悪いところは改善していく」という方針のもと、手始めに車番の付与方式を変更したのである。ただし、車輌形式は国鉄・JR時代のものを継続して使用することにした。
運行形態であるが、寝台列車としての1回の運転が終了するとJR貨物の駅へと回送し、寝台車を切り離し運行するということを行うのである。 JR旅行が発足した後も、国鉄時代から運行していた客車の劣化はいかんともしがたい状況になり、2002年に「はくつる」、2005年には「あかつき」・「彗星」、2008年に「あさかぜ」・「なは」、2009年に「富士・はやぶさ」、2010年に「北陸」、2012年に「日本海」といった列車が廃止されたが、JR旅行ではそれらを新型車両で置き換えて運転を行うようになった。 JR旅行ではこの6編成以降も客車を新造しているが、今回は最初にJR旅行が新造した6編成について語ることとする。 ▲現在では数少なくなった国鉄形車両を使用したJR旅行「北斗星」(2012年2月10日、上野駅) |
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